アレルギー性鼻炎(花粉症)の治療(亀田総合病院 耳鼻咽喉科)
今年もスギ花粉の飛散シーズンが始まろうとしています。アレルギー性鼻炎のうち、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因で生じるものを「花粉症」と呼びますが、近年、花粉症の患者さまは増え続けており、現在では日本人のおよそ5人に2人が花粉症だと言われています。日本では特にスギ花粉症が多く、国民病とも称されています。
![]() | どんな症状が出るの? |
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![]() | くしゃみ、鼻水、鼻づまりが3症状として有名ですが、これらの症状が1日中続くことにより、様々な悪影響があります。 まず、集中力が低下し、学習効率や労働生産性が低下することが挙げられます。イライラや倦怠感、疲労感も感じやすくなります。他に、鼻水がのどに流れてくることにより咳(せき)、痰(たん)、咽頭の違和感を生じ、鼻がつまることにより匂いがわかりづらくなり、睡眠の質も低下します。 このような症状により花粉症は人々のQOL(生活の質)を著しく障害していると言えます。 |
![]() | 花粉症はどうして起こるの? |
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![]() | 私たちの身体には免疫機能が備わっており、体内に侵入してきた異物や病原体を排除しようとする働きがあります。この免疫システムが身体にとって無害な物質に対しても過剰に働いてしまうことを「アレルギー反応」といいます。 具体的には、花粉が体内に侵入すると、身体はそれを異物と認識して、花粉に対する抗体が作られます。体内に侵入する花粉の量が増えるほど、作られる抗体も増えていきます。抗体の蓄積量があるレベルに達することが花粉症発病のきっかけとなり、次に花粉が入ってきた時に過剰に反応するようになります。異物である花粉から身体を守るために、「くしゃみ」で掃き出し、「鼻水」で洗い流し、「鼻づまり」で進入を防ぐ…といった具合に花粉症の症状を起こします。 |
![]() | 花粉症をどうやって診断するの? |
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![]() | 鼻の粘膜の腫れ具合や色調を診察し、典型的な粘膜所見であれば、症状と合わせてアレルギー性鼻炎と診断してもよいとされていますが、何に対するアレルギーなのかを調べる上でも通常は血液検査などにより抗体検査を行います。 |

正常な鼻粘膜の所見(当院耳鼻科医師の鼻粘膜):粘膜の腫れはなく空気の通り道が確保されています。内視鏡の光の反射で白く見える部分もありますが、色調は全体的にピンク色です。

アレルギー性鼻炎の典型的な鼻粘膜の所見(日本耳鼻咽喉科学会のHPより引用):粘膜が腫れ空気の通り道が塞がっています。色調は白色がかっており、水っぽい鼻水も見られます。
次回は、花粉症の治療についてご紹介します。
文責:亀田総合病院 耳鼻咽喉科 岡本拓也
(2021.2.1作成)