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ワクチンのはなし

2019/9/15

「子宮頸がんとHPVワクチン」

当院では今年の5月から、いわゆる“子宮頸がんワクチン”(HPV: Human Papilloma Virus vaccine)の新しいタイプのもの(Gardasil9(ガーダシル9))の接種を開始しています。今回は子宮頸がんとHPVワクチンについてご紹介します。

子宮頸がんとは

子宮がんには、子宮の入り口付近から発生する「子宮頸がん」と、子宮の奥から発生する「子宮体がん」があります。それぞれ発生する場所だけでなく、原因や特徴も異なる別の病気です。

日本では子宮頸がんに年間約1万人が罹患し、この病気で約2,900人が命を落としています。罹患数・死亡者数とも近年増加傾向にあり、特に20歳~40歳台の働き盛りの女性や子育て世代の女性の罹患増加が著しいものとなっています。

子宮頸がんの原因

子宮頸がんの多くはヒトパピローマウイルス(以下HPV)という、ごくありふれたウイルスの持続感染が原因となっていることがわかっています。HPVの主な感染経路は性的接触です。性交渉の経験がある女性のうち50%~80%は、生涯で一度はHPVの感染機会があると推計されています。しかしHPVに感染しても、多くの人は無症状のまま一過性の感染に終わり、病気を発症することはありません。HPVが持続的に長く感染し続けるごく一部の女性において、前がん病変を経て、数年程度かかって子宮頸がんが発生することがあります。

HPV関連がんはワクチンで予防を

HPVには何十種類ものタイプがあり、そのうち子宮頸がんを起こしやすいタイプが複数あることが知られています。いわゆる“子宮頸がんワクチン”といっているワクチンは実はこの子宮頸がんの原因になりやすいタイプのHPVに対するワクチンなのです。

従来のHPVワクチンは子宮頸がんを起こす性質を持つHPVのうち2つのタイプを対象にしており、これで子宮頸がんの60%をカバーすることができると考えられています。新しいタイプのワクチン「Gardasil9」は9つのタイプのHPVに対応しており、そのうち子宮頸がんを起こす性質を持つものを7つ入れてあるので(残りの2つは男性、女性ともに陰部にイボを作る尖圭コンジローマという病気を起こす性質のものを対象としています)子宮頸がんの90%をカバーすることができるようになりました。このワクチンの効果により、将来子宮頸がんはほとんどなくなり、“希少がん”(ほとんど見られない珍しいがん)の一つとなるだろうと考えられています。

なお、ワクチンはすでにHPVに感染している細胞からHPVを排除する効果は認められません。そのため、初めての性交渉を経験する前に接種することが最も有効とされています。

HPVワクチンをめぐる日本の現状

海外ではすでにこの新しいタイプの「Gardasil9」に置き換わっているのですが、日本では、以前のタイプのワクチンの副作用で体調が悪くなったと訴えて訴訟が起きており、(科学的にはワクチンとの因果関係は否定されています)その問題が解決していないため新しいワクチンの導入が行われていません。

当院での対応

当院感染症科では、厚労省にワクチン輸入の許可申請をして、輸入ワクチンとして「Gardasil9」を取り寄せ、今年5月から接種を開始しています。ただし、輸入ワクチンは万が一の健康被害などに際して、公的な補償制度が利用できません。効果や安全性について事前に説明してご理解・ご納得を得た上で接種を行っています。

このワクチンは、オーストラリアを始め米国などでは男性への接種も開始されており、当院でも男性への接種も行なっています。亀田クリニック(感染症・予防接種・旅行外来)のほか、京橋クリニック(感染症内科トラベル・ワクチン外来)で接種が可能です。なお、11歳から14歳までは2回接種、15歳以上は3回接種が必要です。費用は接種1回あたり35,100円(税込)となります。(※初診料・再診料などの費用が別途かかります)接種を希望される方は、まずは予約センターまでお電話ください。

感染症科(予防接種・旅行外来)のご案内
GENTLEMAN PROJECT -男性もHPVワクチン接種を!-

亀田総合病院 感染症科 細川直登

百日せき含有ワクチンの追加接種について

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