レポートシステム【ファントルくん】でKAIZEN(改善)サイクルを一元化
2008/04/15
2007年4月の医療法施行規則の改正により医療機関内に医薬品安全管理責任者及び医療機器安全管理責任者の配置が義務化されました。
これにより医薬品・医療機器によって発生しうる健康被害等の情報をいち早く入手し、安全性情報に基づいた体制作りがよりいっそう充実されることになります。
- 1 .医療に係る安全管理のための指針を整備すること
- 2 .医療に係る安全管理のための委員会を開催すること
- 3 .医療に係る安全管理のための職員研修を実施すること
- 4 .医療機関内における事故報告等の医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策を講ずること
の項目が要件としてうち出されています。
ここ10年で医療の安全管理体制が整備されてきた背景には、1999年の横浜市立大の患者取り違え手術事故が例にあがります。
こうした教訓から事故を起こさないために医療機関が苦慮していること、また職員らがどのように工夫して安全を実行しているかなど、利用者のみなさまにお伝えしていき、ご理解ご協力いただくことから安全に向けた良いアイデアが生まれてくることが期待されます。
医療事故の定義は、「医療にかかわる場所で医療の全過程において発生する人身事故一切を包含し、医療従事者が被害者である場合や廊下で転倒した場合なども含まれる」(日本病院管理学会監修(2004)『医療安全用語辞典』、エルゼビア・ジャパンより抜粋)とあります。
まずは、何が起きたのか、または起きそうになったのかについて報告する風土作りが必要です。
そこで、当院では昨年7月より「ファントルくん」(株メディシステムソリューション:写真1)という電子報告システムを運用しています。転倒転落やチューブ抜去、医療機器のトラブルなどをメールの機能によりスピーディに情報を送受できます。
このシステムは、報告だけにとどまらず、分析・改善・評価までの改善サイクルがひと目で確認できるようになっています。
また、ファントルと名付けた由来は「医療に係るすべての不安定な環境要因を取り除く(=不安とる)」意図と、亀田病院のキャラクターといえばカメということから付きました。ファントルくんは組織の安全文化の醸成を目標に、旗を振って安全の頂に導いています。
冒頭の管理体制要件にある4つめ、「(4)改善のための方策」には出来事の報告・根本原因分析・改善策実施及び評価・情報共有、が上げられています。ファントルくんで報告したら終わりではなく、なぜ起きたのか掘り下げて追及していき、同類の事例を未然に防止し安全で質の高い医療提供を目指しています。
医療安全管理室 セーフティマネージャー 髙橋静子